
『BE』は、マーケターとデザイナーの夫妻が営む会社、サンアイが手がける着物の帯をリメイクした和小物ブランドだ。デザイナーである明由美さんの趣味から始まったハンドメイド雑貨だったが、そのクオリティが評判を呼び、2023年には業務用ミシンを導入し、本格的に事業として産声を上げた。
『令和7年度新事業展開テイクオフ支援』への申請目的は、伴走支援による「ブランド価値の明確化」だった。自身の感性から生まれたプロダクトアウトのブランドは、ターゲットや提供価値が曖昧なまま走り出しており、事業としての伸び悩みに直面していた。

伴走支援のパートナーに選んだのは、りそな総合研究所の藤原さん。組織の課題を互いの強みで補い合う『リーナル式』で知られる、地域活性化と企業支援のプロフェッショナルだ。「週1回1時間の集中型ワークをリモートで実施しました。こちらの用意した質問にクラウド上で記述していただき、その回答に対してさらに問いかけを重ねていきました」と藤原さんは振り返る。
感覚派だった明由美さんは、自身のものづくりについて深掘りされる中で、初めて気づいたことが多かったという。
「これまで“快・不快”の直感で判断していたものが、実はデザイン理論に則ったものであったこと。なぜこう作るのかという、クリエイティブの根拠をより明確に説明できるようになりました」。
支援の中で特に藤原さんが強みだと感じたのは、現場での“リアルな顧客接点”だ。「すでに催事やイベントへ精力的に出展されていたので、机上の空論ではなく、お客様の声を直にブランドへフィードバックできる状態だったのが素晴らしかった」。

対話を通して見えてきたブランドの方向性は、単なる着物リメイクではなく、“デザイナーが作る一点物のアート”というコンセプトだった。「帯の柄のどこをトリミングし、どんな色合いで構成するか。プロの視点でデザインを施していることこそが、最大の特徴だと気づいたんです」。その確信は、すぐに結果として現れる。2026年1月になんばマルイで開催されたPOP-UPイベントにて、インバウンドの観光客が、1つ35,000円のハンドバッグ2個をその場で即決したのだ。
「“Made in Japanを求めて京都中を探し回ったが、ここにあったんだね!”と言われた時は本当に嬉しかったです」。この出来事こそが『BE』の勝ち筋だと藤原さんも深くうなずく。「市場に無理に合わせる必要はありません。明由美さんの作品の価値を理解してくれる人に届けることが大切です」。
納得して購入してもらうための「言葉」は必要だが、直感で価値を感じてくれた顧客の存在は、明由美さんの大きな自信となった。

当初は持ち込まれた帯のリメイクオーダーを軸にする構想だったが、現在では自社規格品の販売をメインに切り替えている。「売れるかどうか分からず、需要に応える形を考えていましたが、規格品が売れるようになったことで手応えを感じています」と明由美さん。
今後はブランド認知のため、大阪国際会議場での大規模イベントやあべのハルカスでの催事など、精力的な出展を計画中だ。「今はすべてのクリエイティブを私一人が担っているため、催事出店の負担は決して軽くありません。まずは『BE』を広く知っていただき、将来的には自社ECをメインの販路に成長させていきたいですね」。
かつて「ブランドの在り方について迷子だった」と語る明由美さんの目には今、明瞭なビジョンが映っている。
サンアイ
代表者:石田剛司
所在地:大阪市西区本田4-9-14スタジオフレーム2F TEL:080-1970-9897
事業内容:集客コンサル・クリエイティブ制作事業、自社ブランド事業
Instagram:https://www.instagram.com/be_aim_kimono/
りそな総合研究所
藤原 明
『WORDS:3 -大阪で新事業展開に挑む人のことばを集めたインタビューと活動報告集-』
発行元 | 大阪府商工労働部中小企業支援室経営支援課
発行日 | 2026年3月10日
プロデュース | 枡谷郷史、足立哲、大内涼加、西尾和倫(大阪産業局)
企画・取材・記事・デザイン| 古島佑起(クリエイティブ相談所 ことばとデザイン)
プロジェクトマネジメント | 吉原芙美(クリエイティブ相談所 ことばとデザイン)

