令和6年度新事業展開テイクオフ支援で新たに追加補助を実施した建設業・運輸業の事業者における人手不足解消の取り組みをご紹介。

物流業界では、いわゆる2024年問題の影響で人手不足や配送力不足などにより収益環境が変化してしまった企業も多い。仁志加和配送もその一つだが、大手には対応が難しい“ひと手間”を加えた新サービスで業績回復を目指している。大手企業の倉庫の大規模化に伴い、新たに生まれたニーズが「流通加工」と「仕分け」事業だ。顧客の要望に応じた細やかなサービスを提供すると同時に、女性従業員の採用を通じて人手不足の解消と業務効率化を目指している。
女性の労働環境への早期整備が柔軟な対応力につながる
従来の配送・倉庫業務では主に「集荷・保管・配送」業務を行なっている。新事業では、従来の業務に加え保管物を荷主の要望に応じて細分化して仕分けしたり、複数の保管物を指定の数ずつ梱包する業務を展開する。細やかなサービス提供が付加価値となり顧客の満足度向上につながる。
また新事業の推進においては、運送業界が直面する人手不足の解消を目指し女性従業員の採用を積極的に進めている。同社は女性活躍の環境づくりとして、早くから女性用トイレなど女性専用設備の整備を行い、働きやすい環境づくりに取り組んできた。その甲斐あって女性従業員が増加し、新事業の求人は既存の女性従業員の紹介でまかなえる予定だ。さらにテイクオフ補助金を活用して免許不要の電動フォークリフトを導入。未経験の女性従業員でも負担なく作業できる環境を整えた。この取り組みによって、物流業界でこれまで進みにくかった女性の活躍推進がより進展することが期待される。服部社長は「細やかな作業が必要な流通加工を通じ、女性が活躍できる場を広げたい」と語る。こうした取り組みは物流業界の人手不足解消と地域雇用創出に大きく寄与するだろう。
効率化が生む持続可能な成長
新事業の強みは「流通加工」「仕分け」という細やかなサービスと、それらのプロセスの依頼には「集荷・保管・配送」という既存サービスがセットになることによる客単価の向上だ。2024年問題という外部要因で変化した収益環境に対して、自立的な経営基盤強化を目指している。また売上を伸ばすだけでなく、効率性を重視した運営による利益率の向上も重要なポイントだ。作業環境にローラー式レーンや電動フォークリフトを導入し、未経験者でも短期間で生産性を向上できる体制を構築。これにより作業の無駄を省きながら収益性を高めることができる見込みだ。 今後、仁志加和配送は新事業を通じて企業成長を目指すとともに、地域や顧客との長期的な関係構築を目指す。服部社長は「顧客の期待に応えるだけでなく新たな雇用の形を提案し、物流業界の未来を支えていきたい」と語る。この挑戦は物流業界全体の課題に応えると同時に、同社の成長を支える柱となるだろう。

仁志加和配送株式会社
代表取締役|服部 卓
創 業|1970年
本社所在地|〒552-0022 大阪市港区海岸通2-6-15
事 業 内 容 |貨物自動車運送業務
WORDS:2 /大阪で新規事業に挑む人と支える人のことばを集めたインタビュー集
(令和6年度新事業展開テイクオフ支援事業活動報告書)
発行元 | 大阪府商工労働部中小企業支援室経営支援課
発行日 | 2025年3月11日
プロデュース | 枡谷郷史、足立哲、大内涼加(大阪産業局)
企画・取材・記事・CD・D | 古島佑起(クリエイティブ相談所 ことばとデザイン)
プロジェクトマネジメント | 吉原芙美(クリエイティブ相談所 ことばとデザイン)