令和6年度新事業展開テイクオフ支援で新たに追加補助を実施した建設業・運輸業の事業者における人手不足解消の取り組みをご紹介。

豊開発株式会社は、ドローンを活用した施工現場の撮影サービスを行っている。同社の技術は、人手不足や高齢化が進む建設業界で、省力化と効率化を実現する取り組みとして注目されている。特に人が立ち入れない危険区域や狭小空間での点検作業を可能にし、迅速なデータ収集と安全性向上を両立。さらなる事業展開で持続可能なインフラ維持への貢献を目指している。
省力化と安全性向上を両立するドローン技術
豊開発のドローン活用サービスは、空撮ドローンやマイクロドローンの活用により、橋梁内部や工場の高所、配管内など人の立ち入りが困難だった環境での点検作業を迅速かつ安全に行えるのが特徴だ。またこれらの作業はドローンオペレーター1名と補助者で完結するため、足場の組み立てや安全対策など複数人での対応が必要だった従来の手法に比べ工数や準備時間を大幅に削減できる。
さらに、今後は水中ドローンを活用することで、港湾施設やダムの基礎調査といった潜水作業等の効率化を進めていく。これにより作業者の安全を確保しつつ、施工現場全体の効率を高めることができる。同社が持つ施工管理のノウハウとドローン技術を組み合わせることで、建設現場が直面する課題解決に向けた大きな一歩を踏み出している。
建設業界の課題解決と新たな収益の柱としての可能性
豊開発はドローン技術を活用した新事業を既存取引先のゼネコン2社を対象にサービス開始。まずは安定した収益基盤を構築し、段階的に新たな取引先へ拡大する計画だ。特に、老朽化が進むインフラの維持管理や点検作業において、インフラ関連企業や行政機関へのサービス提供が期待される。
またドローン技術の持つ多用途性が収益拡大の鍵となる。例えば収集したデータを活用したメンテナンス提案や異常検知サービスを提供することで、単発の受注から派生した新たな収益を見込める。さらに災害時の被害調査や都市部での建物管理など、建設分野以外にも事業を広げる可能性を秘めている。 コスト面でもドローン機体の購入や操縦者の育成に必要な初期投資は、作業効率化等によるコスト削減で十分カバーできる見込みだ。清水社長は「この事業は建設業界の課題解決に貢献するだけでなく、新しい収益モデルの足掛かりとなる」と語る。同社の挑戦は持続可能な収益モデルを構築しつつ、建設業界全体の効率化と安全性向上に寄与する取り組みとして注目されている。

豊開発株式会社
代表取締役|清水 勇輝
創 業|1990年
本社所在地|〒542-0064 大阪市中央区上汐2-5-29
事 業 内 容 |土木工事の施工管理業務
WORDS:2 /大阪で新規事業に挑む人と支える人のことばを集めたインタビュー集
(令和6年度新事業展開テイクオフ支援事業活動報告書)
発行元 | 大阪府商工労働部中小企業支援室経営支援課
発行日 | 2025年3月11日
プロデュース | 枡谷郷史、足立哲、大内涼加(大阪産業局)
企画・取材・記事・CD・D | 古島佑起(クリエイティブ相談所 ことばとデザイン)
プロジェクトマネジメント | 吉原芙美(クリエイティブ相談所 ことばとデザイン)