新事業展開の事例

case
取り組み

オージャスト

請負型事業から
自社商品事業への転換を目指す

社内イベントのプロデュースを手掛けるオージャスト。
モチベーションアップや生産性の向上など、顧客からは好評を得ていたがコロナ禍で売上は8割減。
同時に案件ごとにオーダーメイドでプランする請負型のビジネスにも限界を感じ、自社事業を展開すべくオリジナル商品の開発に着手した。
こうして生まれた再利用型展示ブース『Re:ブース』と理想的な伴走支援の関係性について聞いた。

INTERVIEW

事業者_
株式会社オージャスト
代表取締役


金 功勇
Kim Kongyong

支援機関_
HSA ASSOCIATES
中小企業診断士


森 文彦
Mori Fumihiko

どう考えても使い回した方がいい

:社内イベントを通してお客さんと信頼関係ができるといろいろなビジネスの相談がきます。その1つが展示会用のブース制作でした。いざ展示ブースの業界に行くと、世の中これだけ環境のことが言われているのに、未だに9割以上のブースが1度きりの使い捨て。ブース施工の関係者に僕が「ここはもったいないから使い回せるようにしませんか?」と言うと「そんなんで良いもんできません」と聞いてもくれない。しまいには依頼元のお客さんまで「使い捨てでいい」と言うようになって。展示会は新しいものの発表だから、ブースをケチって価値が伝わらないのは困るという気持ちは分かります。
一方僕たちはコストの厳しい社内イベントの世界で「やってよかった」「感動した」と満足してもらえるものを作ってきたので、部材を使い回してもきちんとやれば価値を伝えられる自信がありました。みんなやりたがらないけど、どう考えても使い回す方が環境にもコストにも優しい。これはチャンスだと思いました。

自走できる仕組みを定着させるための支援

:「テイクオフ」事務局さんを通じてオージャストさんとのお付き合いが始まりました。中小企業診断士の傍ら、私自身は商業施設の内装や展示会関係の会社経営もしていますので、事業内容を聞いてこれは運命的な出会いだと思いました。
お会いした時『Re:ブース』は展示会出展も決まっていて、ほぼものは出来ていました。ただ、展示会の目標や事業の将来像などは明確ではなかったので、お話を聞いて毎週宿題を出し、今足りない部分を少しずつ具体化していきました。

:実はコロナで社内イベントの仕事がなくなったとき、いろいろと試行錯誤して新規事業を12個くらい一気に立ち上げたんです。でも『Re:ブース』以外はどれも上手くいきませんでした。
ご支援いただいてから、ダメだった事業を改めて見返すと、どれも商品とロゴとLPだけを作っただけで、デザイン面のアプローチしかできていなかったと気づかされました。それは事業のごく一部分ですよね。
森さん、東京の展示会にも来てくださって僕がブースで立ってたら「出展者さん、全員お客さんじゃないですか」って。そこから各社のブースを回って600枚くらい名刺交換できました。自分たちで気づけない気づきをいただき、事業者が行動に移す。伴走支援の理想的な関係だと思います。

:「テイクオフ」としての支援はいずれ離れるので、大切なのは「こうするべき」を押しつけるのではなく、その会社さんに合うやり方を見つけ、定着させる仕組みを作って自走できるようにすることです。
オージャストさんの支援で大切にしたことは、如何に社内メンバーを巻き込んでいくかです。勤務形態がリモートということで、定期的にみんなで考え、議論する機会を作っていくことを意識的に行いました。スライドやワークフォーマットなどのちもオージャストさんの資産になるようなツール開発などもしました。

:ツールの設問を埋めていくことで、課題の解像度が上がりますし、そこに至るまでの時短にもなります。これは僕たちがお客さんに提案する時にもそのまま使いたいくらいです(笑)。

賛同者を増やし、業界内の気運を高めたい

:社内での議論を重ねて確信できたのは『Re:ブース』事業は僕たちだけのものじゃないということです。ブースを使い回すことが常識になれば、ご依頼いただくお客さんも施工業者さんも地球環境も豊かになると思います。ですが、そこに行き着くには僕たち1社では無理です。大手さんやいろんな企業さんの中に賛同者を増やし、そういう気運を業界全体で高めて行きたいですね。営業のメンバーもよく言いますが、環境に優しいほうが良いというのはみなさん異論はないけれど、それだけですぐに広まるわけではない。今後はより付加価値の高い商品になるよう磨いていきたいですね。
オージャストとしては今後『Re:ブース』を軸に社内イベントもパッケージングした自社発の事業会社としてオリジナルの商品を広めるよう事業転換していけたらと思います。

Re:ブース
チームメンバー

株式会社オージャスト
代表取締役|金 功勇(野村 功勇)
創   業|2006年
本社所在地|〒537-0001 大阪市東成区深江北2-15-24 東邦ビル212
      TEL:06-6977-5204
事業内容|イベント企画・プロデュース、クリエイティブ制作


WORDS /大阪で新規事業に挑む人と支える人のことばを集めたインタビュー集
(令和5年度新事業展開テイクオフ支援事業活動報告書)

発行元 | 大阪府商工労働部中小企業支援室経営支援課
発行日 | 2024年3月5日
プロデュース | 枡谷郷史、足立哲、遠藤麻子(大阪産業局)
企画・取材・記事・CD・D | 古島佑起(クリエイティブ相談所 ことばとデザイン)
プロジェクトマネジメント | 吉原芙美(クリエイティブ相談所 ことばとデザイン)

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