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【後追いレポート 】vol.10 三恵メリヤス株式会社

本記事は、昨年度までに実施した【新事業展開テイクオフ支援事業】の伴走支援に参加いただいた事業者さまを取材したものです。伴走支援期間を経た現在の状況や、これからの展望についてお話を伺っていきます。


2026年に創業100周年を迎えた三恵メリヤス株式会社。2017年に立ち上げたTシャツブランド『EIJI』は、素材や技術に徹底的にこだわり、多くの人に支持されています。
令和5年度の新事業展開テイクオフ支援事業では、Tシャツを大切に長く着るための洗濯石けん『SANKEI SOAP』の開発に挑戦。
あれから2年、『SANKEI SOAP』の現在地やこれからの展望を代表取締役社長の三木さんにお伺いしました。
開発に至った経緯についてのインタビューはこちら

構想段階から商品完成まで駆け抜けた一年間

『EIJI』は、最高品質のオーガニックコットンを使用し、職人の技術を詰め込んだ最高級のTシャツです。
『EIJI』を立ち上げた初期の頃から、購入者から手入れの方法を聞かれることが多く、Tシャツを長く気持ちよく着てもらうための洗剤を作りたいと考えていたという三木さん。
「僕たちは洗剤を作る技術はないので、専門の工場に作ってもらわないといけません。せっかく作るんだったら、工場の方とコミュニケーションをとりながら、何度も試作して、納得いくものを作りたい。そういった開発にはお金がかかるので難しいと思っていたところに、テイクオフ支援で補助してもらえると知りました。夢が叶えられると思いましたね」

支援期間中は開発とパッケージなどのデザインを中心に取り組み、わずか1年で販売開始までこぎつけます。

「僕らは町工場なので、モノを作った後の『お客様への見せ方』を整えるのは苦手で、パッケージや容器のデザインは伴走支援してもらいながら作り上げていきました。
中身の開発では何度も試作品を作って、成分を入れ替える度に3週間ほど放置して実験したり……。正直、ぎりぎりでしたけど、締め切りがあったからこそやり切れたと思います」

こうして完成した『SANKEI SOAP』の成分は100%植物由来。石油由来成分や合成界面活性剤は一切使用しておらず、人・服・環境に優しい洗剤です。

「自然に分解されて、できれば飲んでも大丈夫な洗剤を作りたいと思っていました。なので、成分は石けん100%であることにこだわりました。洗浄力とトレードオフということはわかっていましたが、洗浄力を優先したときに、洋服も地球にも肌にもダメージがあるのが嫌だったんですね。
100%にこだわるというのは、僕らのものづくりの1つの基軸でもあるので、それがちゃんといい形で現れた商品になったと思います。僕自身もヘビーユーザーとして、めちゃくちゃ使っていますよ(笑)」

最高の石けんが社内にもたらした効果

2024年12月に開始したクラウドファンディングでは、目標の288%を超える金額が集まるなど、上々の滑り出しを見せた『SANKEI SOAP』。発売初年度は『EIJI』の顧客を中心に、一定のリピート層がついたといいます。

「『EIJI』のお客様の中には、2本ずつ定期的に買ってくださる方もいらっしゃって、すごくありがたいですね。必要としている方に届いているんだなと実感しています」

『SANKEI SOAP』が社内にもたらしたものは、売り上げだけではありません。
イベントでの販売時には、三木さん以外の社員も接客します。洗剤について驚かれたり、褒められたりする場面も多く、「『SANKEI SOAP』の存在が社員の誇りにつながっている」と三木さんは話します。

「自分たちのコンセプトからブレていない商品なので、自信を持って販売できますし、売れたら喜んで報告に来てくれます。三恵メリヤスが『こだわり抜いた素材で、質の高い商品を作っている』ということが、洗剤を通じて世の中に伝えられているというのは、やってよかったと思うことの1つですし、皆も感じていると思いますね」

見えてきた課題と解決のヒント

一方、「今後の課題は新規層の獲得」だと語る三木さん。

「今は『EIJI』のお客様だけが買ってくださっている状況なので、次は新規のお客様をどう増やすかが課題です。服はもちろん、肌や地球にも優しい、こだわった洗剤を求められている方は、着るものにもこだわっているはず。『SANKEI SOAP』を気に入った方はきっと『EIJI』も気に入ってくださると思うので、洗剤からも僕らのファンを増やせたらいいですね」

そんな中、新規層の獲得につながるかもしれない面白い発見があったそう。

「『赤ちゃん用の食器用洗剤として使っている』という話を聞いたんです。『SANKEI SOAP』の成分は食品由来なので、少しくらいなら舐めても大丈夫なんですよ。5倍希釈したら食器用洗剤としても使えます。天然素材でできた赤ちゃん用の食器用洗剤は高価なものが多く、希釈できる『SANKEI SOAP』の方がコスパが良いと教えてもらいました。
大人が使うことを想定して作った製品ですが、赤ちゃんの洗濯洗剤兼食器用洗剤としてもおすすめできるなと思っているところです」

三恵メリヤスと『SANKEI SOAP』のこれから

2026年、三恵メリヤス創業から100年を迎えました。三木さんは「100周年を記念して、まずは草木染めのメーカーさんとのコラボTシャツを販売します。ほかにも『洋服ってこんなことができるんだ』という新しい提案を見せたい」と意気込んでいます。

さらに今後の展望をお伺いすると、オーガニックテキスタイルの世界的な基準であるGOTS認証を取得している点を生かして、海外向けに生地そのものを販売したいと教えてくださいました。

「三恵メリヤスはGOTS認証のTシャツが作れる日本で唯一の工場なんですが、日本ではあまりGOTSの普及が進んでいないので、どうしても生産ロットが少なくなってしまうんです。その分、協力工場に無理をお願いする場面もあって。縫製の世界は装置産業なので、どれだけ機械を動かすかがビジネスの肝になります。小ロットで細かい素敵な製品を作り続けるには、ビジネスとして幹となるような大きな仕事が必要なんです。

海外はGOTS認証に対する反応がすごく良いので、洋服よりもロットが大きい生地を『オーガニックの日本製の生地』として売っていきたい。協力工場にお願いしている側として、皆が長く続けられる仕組みを構築するために、令和7年度のテイクオフ支援も活用しながら、計画を進めています」

『SANKEI SOAP』に関しては、知名度向上に加えて、一緒に販売してくれるパートナー企業も探したいとのこと。

「たとえばカレーをこぼしたときは、洗浄力の強い合成洗剤を使うべきだと思うんですよ。でも、普段の生活でついた汚れは、水の量を多くすればそこまで洗浄力は必要ないんですよね。全てをマックスの洗浄力で洗っていたら、服にも環境にもダメージが大きすぎる。僕は、必要なときだけ合成洗剤を使うという世界の方がいいなと思うんです。

もし、こういった僕らの思いに共感してくださる企業さんがいらっしゃったら、ぜび『SANKEI SOAP』を取り扱っていただきたいと思っています。お声がけお待ちしています」

取材後記

三恵メリヤスが作る商品には、「人や自然に優しい、こだわり抜いた素材を最高級の品質で届ける」という思いが通底しています。
実は、『SANKEI SOAP』には石けんかすを取り除くためのリンスや香りを楽しむオイルもあるのですが、三木さんは「リンスはあんまり売れないですね(笑)。僕がブログで洗剤と水だけで十分って発信してるから(笑)」とお話しされていました。目先の売り上げよりも、人や自然を大切にするという根源的な価値観を大切にしている三木さんが作る商品だからこそ、信用されて長く愛されるのだと感じました。
新規獲得が課題と語られていた『SANKEI SOAP』ですが、赤ちゃん向けの食器用洗剤としてなど、まだまだ伸びるポテンシャルは秘められています。今後の展開も楽しみです。

『SANKEI SOAP』販売サイト:https://eiji-o.jp/products/sankei-soap?srsltid=AfmBOooAlL8CFuAV-o_1JM_H4Z4w5jL12E42xoO3Icjozdh_3yWSdc1D


三恵メリヤス株式会社
代表取締役|三木 健
創   業|1926年
本社所在地|〒530-0015 大阪市北区中崎西2-3-28

取材・記事|ヤグチサトコ



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