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【後追いレポート 】vol.17 中尾食品工業株式会社

本記事は、昨年度までに実施した【新事業展開テイクオフ支援事業】の伴走支援に参加いただいた事業者さまを取材したものです。伴走支援期間を経た現在の状況や、これからの展望についてお話を伺っていきます。


大阪府堺市で90年以上にわたり、こんにゃくを作り続けてきた中尾食品工業株式会社。素材にこだわり、伝統的な製法を守るかたわら、四代目の中尾さんは大阪から全国へ、そして世界へ飛び出そうとしています。新事業展開テイクオフ支援事業を活用しながら、持ち前の行動力とひらめきで会社を引っ張る中尾さんに、お話をお聞きしました。

テイクオフ支援で世界に挑戦

こんにゃくは、こんにゃく芋を原料として作られる加工食品です。しかし、一般的なこんにゃくは、こんにゃく芋を乾燥させてパウダー状にした「こんにゃく粉」から作られていることがほとんど。そんな中、中尾食品工業は有機栽培した広島県産のこんにゃく芋だけを使用し、凝固剤も天然のものにこだわった『菊松こんにゃく』を始め、高品質な商品を世に送り出しています。

「こんにゃくで世界を目指す」と話す中尾さんが次の一手として開発した商品が、こんにゃくのオーガニックフィットチーネです。

フィットチーネとは、平打ちのパスタのこと。こんにゃくを原料としたフィットチーネは、小麦よりも低カロリーでアレルゲンフリーな点が魅力です。健康志向が強くオーガニック市場が拡大している欧米への販路開拓を目指し、令和5年度のテイクオフ支援に申請。海外での市場調査と自社のプロモーション動画の制作を行いました。

「オーガニックフィットチーネの商品自体は完成しましたが、最終的には価格や保存性の面で量産は断念することになりました。ですが、市場調査で行ったラスベガスの展示会では、アメリカで一番売れているこんにゃくヌードルを手がける会社の社長と名刺交換できたんですよ。僕が世界をひっくり返そうとしたときに、競合するにしろ協力するにしろ、避けては通れない相手です。こんにゃく市場を変えるためのキーマンに会えたのは大きな成果でしたね」

プロモーション動画は、欧米向けにクラフトマンシップを意識した演出で制作。こんにゃくができるまでの工程を1本の動画にしました。完成後は、こんにゃくを納入しているフランスの日本料理店から店で流したいと要望を受けるなど、販促に一役買っています。

国内で地位を高め、販路拡大へ

一旦、オーガニックフィットチーネの量産化は断念したものの、中尾さんは世界への挑戦を諦めたわけではありません。

「まずは日本国内のこんにゃく市場で中尾食品の地位を高めていけば、おのずと世界への道が広がってくるんじゃないかなと思うんです」

実際に、高級スーパーマーケットチェーンである紀ノ国屋のPB商品を手がけることになり、今年の2月から販売が開始されています。

「世界を目指すなら、やっぱり東京でポジションを確立する必要があると思っているんですね。東京での販路開拓に力を入れたところ、紀ノ国屋さんのPB商品につながりました」

積極的に新規開拓を進める中尾さん。今期は新規案件が増えた分、前年比プラスで終える見込みです。

「最近では、手づくり総菜店の『咲菜』さんのこんにゃくの甘辛煮に新規採用いただきました。味が染み込みやすいように表面に格子状の筋を入れてほしいと言われて、最初は『どうやってやるんやろう』と思ったんですけど(笑)。眠っていた機械を必死に調整し直して、無事に製品化できました」

製品化したこんにゃくは、ほかの得意先にも販売する許可を得ており、「新たな売り上げの柱になる」と中尾さんは考えています。

「『咲菜』さんが『良い商品ができたんだから、ほかにも売った方がいい』と言ってくださったんです。この筋入りこんにゃくを引っ提げて、飲食店へのアプローチを強化しようと思っています。実際にこんにゃくを使ったレシピを食べてもらうと高評価をいただくことが多く、すでに数件取引が決まっています。これからもっと広げていきたいですね」

発注システムで業務効率化を実現

飲食店への販路拡大は、同社の課題の1つでした。開拓の足掛かりとして、中尾さんは飲食店用の発注システムの開発に着手。令和5年に引き続き、令和6年のテイクオフ支援にも申請しました。

「飲食店が使いやすいようにカスタマイズしたシステムを構築しました。急なキャンセルに対応できるよう、締め時間までは何度も数量を変更できるようにしています。実際に運用していますが、かなり反響はいいですね。発注しやすいと好評です」

開発したシステムは、既存の得意先への導入も進めています。

「昔の名残りで、殴り書きのFAXで注文がくることもあったんですよ。システム化できない領域だと思っていましたが、そういった方も普段はスマホを使っているんですよね。利便性をきちんとご説明して、今はスマホで注文してくれています」

システムからの発注が増えた結果、業務効率化に成功したといいます。

「繁忙期は伝票処理で手一杯でしたが、システムを導入してもらってからは、同じ受注量でも仕事に余裕が出るようになりました。その分、ほかの人が担当していた業務を受け持ってもらったり、デザインなどの新しい業務に注力してもらえるようになっています。テイクオフの補助金がなくてもやるべき投資だったと思いますが、やっぱり補助してもらえたのはありがたかったですね」

溢れるアイデアと長期的な視野で着実に世界へ

世界を目指して、「まずは足元の日本国内から固めていく」と話す中尾さん。そのための新しいアイデアが次々と生まれています。

「『咲菜』さんの製品のために整備した機械で、こんにゃくに筋が入れられるようになったので、それを生かしてこんにゃく田楽の商品化を考えています。こんにゃくも味噌もある程度グレードの高いものを使って、『ちょっと食べてみようかな』と思わせる路線でいきたいですね。飲食店やスーパーで取り扱ってもらうのはもちろん、イベントで売ってその場で食べてもらうのも面白そうだなと思っています」

こんにゃく田楽

一方、長期的な視野で冷静に状況を判断し、地道な努力も忘れません。

「世界をひっくり返すための戦略は、いろいろな人の意見を聞きながら良い落としどころを探るつもりです。じっくりと順番に進めていきます。まずは自社のホームページを越境ECに対応しているプラットフォームでリニューアルしたので、海外の飲食店からの注文をじわじわと広げていきたいですね」

中尾食品工業の世界への挑戦は、一歩ずつ、着実に前へと進んでいます。

取材後記

「僕、動物占いはペガサスなんです(笑)。海外に行くのも嫌いじゃないし、飛んでいっちゃうんですよ」とおっしゃっていた中尾さん。ひらめきは「あちこちに行っていろいろと見聞きして得た知識が、現場の状況と合っているのか答え合わせする中で生まれる」のだそうです。一方、ひらめきだけではなく、時間をかけて1つずつ成果を積み上げていく地道な努力も中尾食品工業の強みだと感じました。
そして何よりも、こんにゃくがおいしい! 
取材時にこんにゃく田楽を試食させていただきましたが、アクがなくあっさりしたこんにゃくと濃厚な味噌が相性抜群。本当においしい一品でした。
中尾食品工業のこんにゃくが世界を席巻する日は、そう遠くないのではないでしょうか。

中尾食品工業株式会社webサイト:https://nakaoshokuhin.co.jp/?srsltid=AfmBOood7tvXHK6Fsw-ggoQQt7RDji8CMMQsS1yesqSPfefV6ohv8703


株式会社花次郎
代表取締役|中尾 友彦
創   業|1975年
本社所在地|〒593-8312 大阪府堺市西区草部715

取材・記事|ヤグチサトコ



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