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【後追いレポート 】vol.16 株式会社花次郎

本記事は、昨年度までに実施した【新事業展開テイクオフ支援事業】の伴走支援に参加いただいた事業者さまを取材したものです。伴走支援期間を経た現在の状況や、これからの展望についてお話を伺っていきます。


大阪と神戸に6店舗を展開する『フラワーショップ花次郎』。運営する株式会社花次郎の友重さんは、新型コロナウイルスの流行をきっかけに、EC事業の本格化を決断。令和5年度の新事業展開テイクオフ支援事業を活用し、フラワーギフトとウェディングブーケを販売するECサイトをオープンしました。サイト公開から約3年、事業の現在地や今後の展望をお聞きしました。

コロナ禍でのチャレンジ

『フラワーショップ花次郎』は、豊富な品ぞろえとリーズナブルな価格で人気の生花店です。ショッピングセンターを中心に便利な立地に出店し、店舗はいつも多くのお客さんで賑わっています。しかし、新型コロナウイルスの流行時はショッピングセンター自体が休業したこともあり、売り上げが激減。友重さんは、打開策としてECサイトに力を入れることを決意します。

「コロナで先行きが見えず、ECを新しい事業の柱にしていこうと思っていたところに、知り合いの経営者がテイクオフ支援のことを教えてくれたんです。『ぜひやりたい』と思いました」

テイクオフ支援では、補助金を活用してマネジメントしやすいカートシステムを導入し、支援開始半年でサイトをオープン。その後は近畿圏を中心に広告を運用しながら、コンテンツを追加していきました。

当時を振り返り、友重さんは次のように話します。

「コロナ禍のときはお先真っ暗で、どうなるのかすごく不安でした。融資もいろいろありましたけど、返済できるかが気になってしまって……。先行きが不透明な中で投資するというのはすごく勇気がいることなので、テイクオフ支援には本当に助けられました」

付加価値の高い商品力で勝負

ECサイトではリアル店舗で培った販売実績と価格競争力を生かし、フラワーギフトとウェディングブーケを中心に展開。特にウェディングブーケは、一般的なブーケの半額以下の価格に抑えた商品もあり、『花次郎』の特色の1つになっています。

「元々、ウェディングブーケは結婚情報誌の『ゼクシィ』に掲載していて、『ゼクシィ』を見て来店される方への販売がメインだったんです。配送に条件が多いこともあり、対面販売を基本にしていましたが、条件を整えてネットでも販売できるように整備しました」

サイトオープンから約3年、売り上げは順調に伸びているそう。

「当初の目標には少し届いていませんが、毎年、前年比の20%程度伸びています」

一方、ECならではの課題もあります。

「配送料の高騰は課題ですね。ちょっとしたプレゼント用のブーケなど、低価格の商品ほど送料が高く感じるので、『だったら店舗で買おう』となりがちです。また、安価な商品は競合他社との価格競争にも陥りやすく、厳しい戦いになります」

ただ、友重さんは「以前が安すぎた部分もある」と考え、『花次郎』にしか出せない強みで競争を勝ち抜こうとしています。

「1つは、商品開発です。価格競争ではないところで戦うために、付加価値を付けた商品を増やしていきたいと考えています」

『花次郎』では、月に1回の店舗ミーティングで最近の売れ筋情報を共有し、店頭の声を吸い上げています。最近では、赤バラのプロポーズ用ブーケが商品化されました。

プロポーズブーケ

「今の若い世代は、花を贈るのに抵抗がないんです。高校の卒業式で花束とバルーンを持って撮影して、成人式でも当たり前のように花束を贈ります。その流れなのか、プロポーズで花束を渡す人が増えてきているんですよ。バラの本数に意味が込められていて、店頭では『永遠の愛』という意味を表す108本の豪華なブーケが売れることもあります。ECサイトでは今年の1月から販売を開始したばかりですが、コンスタントに注文が入ってきていますね」

ほかにも、「えべっさん」で有名な西宮神社の縁起物である吉兆を鉢にあしらった『えびす胡蝶蘭』も2月から販売をスタート。胡蝶蘭とともに、商売繁盛の神様も贈れるというコンセプトの商品です。こちらもすぐに注文が入り、手ごたえを感じているそう。

「これからも、シーンに合わせてプラスアルファの価値をつけた商品をつくっていきたいですね」

リアル店舗の強みを生かす

『花次郎』のもう1つの強みは、リアル店舗があることです。リアル店舗があるからこそ、EC事業のみで収益を上げる必要はありません。また、リアル店舗を持たない花屋にはできないアプローチが可能です。

「送料がネックになってECサイトでの注文をやめても、『花次郎』の店舗で買ってもらえたらいいと考えています。ネット1本で勝負するというよりは、リアルとネットのいいとこどりで、うまく相乗効果を出したいですね」

そのためにも「店舗の数は増やしたい」といいます。

「ホームページで商品を見て、『近いから買いに行こう』と思ってもらえるような便利な場所に今後も出店していきたいと考えています。今は6店舗ですが、最終的には近畿で10店舗を目指しています」

『花次郎』のこれから

昨今、花業界を取り巻く環境は大きく変化しています。以前は多かったブライダル需要は、少子化による婚礼件数の減少や、ブーケの持ち込みを禁止する式場の増加により減少傾向に。また、「物価高の影響で生活費が優先され、30~40代の子育て世代はあまり花を買わなくなっている」と友重さんは話します。

一方、時給が上がっている分、アルバイトで稼いだお小遣いで若い世代が積極的に花を買うようになり、成人式やフラワーバレンタインなど、以前とは異なるイベントでの需要が増えているそう。

「今まで想像もしていなかったところから需要が出てくるようになったので、しっかりアンテナを張って準備していきたいですね。特に、若い世代が花を買うイベントに向けたアプローチは強化していこうと思っています」

変化に柔軟に対応しながらも、『花次郎』の強みを生かしたビジネスモデルや商品の開発は欠かしません。

「リアル店舗があるからこそのサービスとして、『お花のサブスク』をやってみたいですね。たとえば3,000円分のプランを購入すれば、店舗で好きな花を3,000円分持ち帰れるような仕組みです。あとは、QRコードを読み取ると動画が流れるオリジナルメッセージカードの販売を考えています。花が枯れてしまったら終わりではなくて、形に残るものになってほしいなと思って。どこで買っても一緒ではなくて、『花次郎』のこれがいいって選んでもらえるような商品を生み出していきたいですね」

取材後記

「考えることが好き」とおっしゃっていた友重さん。取材中はたくさんのアイデアを聞かせてくださいました。友重さんの発想力があったからこそ、『花次郎』はコロナ禍という逆風を乗り越えられたのだと感じました。花業界を取り巻く環境は刻々と変化していますが、これからも『花次郎』らしい商品と戦略で道を切り開いていくことでしょう。

フラワーショップ花次郎 オンラインショップ:https://hanajiro.myshopify.com/


株式会社花次郎
代表取締役|友重 幸次郎
創   業|1994年
本社所在地|〒532-0031 大阪府大阪市淀川区加島3-16-128

取材・記事|ヤグチサトコ



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