本記事は、昨年度までに実施した【新事業展開テイクオフ支援事業】の伴走支援に参加いただいた事業者さまを取材したものです。伴走支援期間を経た現在の状況や、これからの展望についてお話を伺っていきます。
「いろどりあふれる社会をつくる」をビジョンに掲げ、教育・研修事業を中心に展開するほか、近年はカードゲーム制作プロジェクト「カラバリプレイラボ」に力を入れている株式会社Color Variation。
2024年には新事業展開テイクオフ支援事業を活用して、対話型カードゲーム『わたしのホンネ横丁』の制作およびマーケティングを実施。本格販売を開始してから約1年経った今、『わたしのホンネ横丁』の反響や発売を控える新しいカードゲームについて代表取締役の岡本さんにお話をお聞きしました。

初年度は目標達成!
取材開始とともに、「目標達成しましたよ!」と笑顔でお話しくださった岡本さん。
「1年目の売上目標個数は、発売開始からちょうど1年で売り切りました。今のペースで行くと、2年目の目標もクリアできそうです」
順調な売れ行きを見せる『わたしのホンネ横丁』。いったいどのようにして売上を伸ばしていったのでしょうか?
『わたしのホンネ横丁』が軌道に乗るまで

『わたしのホンネ横丁』は、ホンネで語り、人とのつながりを作る雑談カードゲームです。お酒カードを使ったミニゲームを楽しむうちに、自然と本音を話せるように設計されています。
あまりお酒が強くないという岡本さん。「お酒が好きな方同士、飲んでるうちに仲良くなっていくのを見ていてとてもうらやましかったんです。だからこそお酒が飲める飲めないに関わらず本音で語り合える場を作りたいと思って制作しました」と話します。
カードの構想はあったものの、これまでBtoBの研修事業を中心に展開してきた同社。一般消費者向けのマーケティングのノウハウがない上に、コストがかかる点がネックになっていました。どうにかならないかと補助金を探していたところ、テイクオフ支援の存在を知り、応募に至ります。
「無事に採択いただき、ボードゲームの展示会に出展したり、YouTuberやボードゲーム系のサイトにPRをお願いしました。反応が良かったのはYouTubeですね。展示会で『YouTubeを見て来ました』と声をかけられることもありました。やはり、いろいろ試す中で次にもつながる効果的な手段を見極めることはできましたし、PR手法をミックスしていくのが大事だということにも気づけました」
PR活動と並行してクラウドファンディングも実施し、目標の407%を達成。その後、一度売上が落ち込むも、「Amazonで広告を出して、キャリアに特化したホンネカード『わたしのキャリア横丁』という形でもう1つブランドを増やしたタイミングで、再び売上が増えました」と振り返ります。

売上向上とともに従業員の給与もアップしたり、先へ向けた投資への余裕がでてきたことで社内から前向きな提案が出てくるなど、『わたしのホンネ横丁』が社内の雰囲気の変化にも貢献しているそうです。
「そもそも『ホンネ横丁』は質問カードの問いを変更することで複数のブランドが作れるように、事業計画を立てていました。その1つが『キャリア横丁』です。今は社員も『婚活が良いんじゃないですか?』『終活はどうですか?』とアイデアを出してくれています。次は、恋愛にテーマを絞って婚活シーンでも役立てられたらと考えています」
新作ゲームのテーマは「子育て」
カードゲーム制作事業「カラバリプレイラボ」は、ゆたかなあそび体験を通じて、大人の学びや気づきを生み出すプロジェクトとして2024年にスタートしました。現在は年1本ペースで商品を増やすことを目指し、2026年4月には新作カードゲームが発売予定です。今回訪問した際には、一足先に試作品を見せていただきました。
「新作は『子育て』に特化しています。私たちはそれぞれ子育てに対して『こんなふうに育ってほしい』という自分なりの価値観を持っていて、それが無意識にわたしたちを動かしています。その子育てにおける価値観=子育て観を言葉にし、見える化していくカードゲームを作っています。パートナーや家庭内だけでなく、教育者や保育士など子どもに関わる仕事の方にも楽しんでもらいたいなと思っています」

ゲーム名は、『コソダテモンスター』。
すごろくを楽しみながら自身の経験や子どもへの思いを振り返る問いに答えていくうちに、自分が子育てや教育の中で大事にしている価値観が見えてきます。価値観は「モンスター」として擬人化されており、普段は意識しづらい子育て観を見える化することで直感的に理解できる仕組みです。
このゲームは男性の育児支援を研究している専門家の監修のもと、心理学や専門性をしっかりと検討した上で作成されているため、腹落ちしやすい内容になっています。

「たとえば、子どもにのびのび育ってほしいと思っているのに、ついガミガミ言ってしまうことってあるじゃないですか。それは自分の中の価値観=モンスターがぶつかっている状態なんですね。『のびのび』育ってほしいと思っていると同時に、『きっちりルールを守ってほしい』という価値観も自分の中にあって、親はそのジレンマと常に向き合っていくことになります。だからこそ、そのジレンマが自分の中にあるものなんだと受け止められたら、子育てが少し楽になるんじゃないかと思うんです。このゲームを通じて、子育てや教育に前向きな想いで関われるような社会をつくる手助けになればと願っています」
「研修のコンテンツ=Color Variation」へ

岡本さんのアイデアは、まだまだ尽きることはありません。
「『わたしのホンネ横丁』に関しては、質問カードのデータをオープンソース化していて、誰でもオリジナルの質問カードが作れるようになっているんです。今後は、質問カードを一緒に作るようなワークショップをやってみたいですね。」
Color Variationとしては、研修受託事業だけでなくツールを通じてノウハウを提供する事業の方向に舵を切っているそうです。
「今でも既存のお客様からゲームの問い合わせをいただくことはありますが、ブランドの確立にはまだ至っていません。研修で何か困ったら、Color Variationのホームページを見てもらえるようになるのが理想ですね」
そのためにも、「まだまだ商品数を増やしていきたい」と意気込む岡本さん。
対話型研修のコンテンツといえばColor Variationと言われる存在を目指して、岡本さんの挑戦は続きます。
「私たちは、語りづらさの解消を1つのコンセプトにしています。何もなければ話せなかった本音をお酒をモチーフにしたゲームで話せるようにしていく。子育てをモンスターという形を使って見える化する。そんな風に、ちょっと語りづらい話や言葉になっていない思いを言葉にできるツールを作っていきたいです」
取材後記
カラバリプレイラボのカードゲームが普通のゲームと異なる点は、「問いと対話」を大切にされているということ。ゲームを通じて問いを投げかけられ、対話していく中で、スムーズに自己開示することができます。
大きな声では言えないけれど、実は座学だけの研修は苦手という方は少なくないのではないでしょうか。もし研修内容に同社のカードゲームがあれば、楽しく対話的な学びが実現でき、わくわくしながら研修を受けられると感じました。
『コソダテモンスター』に関しては、オンライン版も制作予定とのこと。次々とアイデアを具現化していくColor Variationから、今後も目が離せません。
『わたしのホンネ横丁』販売サイト:https://karabari.theshop.jp/items/95865234
株式会社Color Variation
代表取締役|岡本 悠佑
創 業|2018年
本社所在地|〒531-0072 大阪府大阪市北区豊崎3丁目15-5 TKビル4階B
—
取材・記事|ヤグチサトコ

