2026.3.18
テイクオフお助け隊スペシャル対談

令和7年度新事業展開テイクオフ支援』から新たに始まった事務局企画による事業者支援プロジェクト『お助け隊』。専門家にコンサルティングを依頼する前段階の「誰に相談すれば良いか分からない事業の悩み」を聞く活動として、これまで19事業者との対話を重ねてきました
お助け隊について、実際に利用されたEggplant代表の上野宗洋さんとお助け隊リーダーの足立哲さんにお話を伺いました。
Q.お助け隊にエントリーしたきっかけは?
上野 補助金を活用するのが初めてで、とにかく不安だったんです。ご案内が来てすぐに申し込みました。「とにかく助けてー」って気持ちで。手続きや過去の採択者さんの事例など聞けたらと思っていました。
足立 『令和7年度新事業展開テイクオフ支援』で補助金のみ採択された人を対象に、お悩みや困り事を聞く取り組みとして始めたんです。最初はみなさんに一斉メールをして、エントリーフォームからお申し込みいただきました。
Q.メールではお助け隊メンバーの肩書きや専門性についてはあえて書かなかったと聞きました。
足立 そうですね。僕自身が何かの専門家ということもないし、「プロのコンサル」というよりも「ちょっと話を聞いてくれる人」という感じを大切にしたかったんです。
上野 おかげでこちらも気軽に申し込めました。コンサルティングって、相談したいことがはっきりしていないといけないイメージがあって。お助け隊のメールは「このモヤモヤを聞いてほしい」という気持ちにフィットしました。
Q.どんな相談をされたんですか?
上野 事業の在り方についてです。私は茶道教室の三代目として月に1度季節に合わせた茶会体験ができる動画と、抹茶を会員さんにお届けするサブスク型のサービス『てのひら茶会』を運営しています。その中でInstagramのアカウントが伸び悩んでいました。世の中の成功事例や「こうすべき」というノウハウを取り入れようとするうちに、もっと刺さるような極端な表現をしないといけないのか、でもそれは自分らしくない……と情報過多になって悩み、ブレてしまったんです。テイクオフ補助金で出すインスタ広告の内容に迷いが出てしまい、お助け隊を頼りました。
そしたら足立さんが「自分の想いはブラしたらダメ」って言ってくれたんです。私の想いを薄めなくていいんだ、大切にしていいんだと確認できたことで、大きな自信になりました。
足立 お話を聞いていて、上野さん自身の根本に〝揺らがない軸〟があるのが分かったので、それを後押ししたいと思ったんです。上野さんの事業は、自分自身が提供価値の一部。だからこそご本人がブレてしまうと商品価値もブレてしまうと感じました。
上野 本当にその通り。不特定多数の人に知ってもらうんじゃなくて、目の前の人・伝えたいと思う人にちゃんと伝えていけばいいんだと一本筋が通った感覚です。そこから全部変えました。
Q.具体的に何を変えたんですか?
上野 商品本体以外の全てです。HPのデザイン・文言、インスタの投稿内容、商品の構成内容を一新しました。気持ちを素直に伝えたら、まわりの反応も変わってきました。
足立 上野さんって、お話ししていると本当に物腰や所作が丁寧で心地いいんです。動画やSNSでもそれが伝わればファンになってくれる人はいると思いました。
上野 嬉しいです。当初目標だったインスタのフォロワー2000人も達成できましたし、会員さんも徐々に増えています。私、メールが来たらすぐにフォルダに仕分けしたい性分なのですが、お助け隊からのメールだけはいつも見えるところに置いてるんです。
Q.最後にお助け隊を利用した感想をお願いします。
上野 補助金申請が初めてだったので、テイクオフの事務局の方に直接お聞きできるというのは心強いですが、やはり一番は事業のご相談ですね。事業の在り方がクリアになって、何をすべきか見えたのは間違いなくお助け隊がきっかけなので、すごく感謝しています。私、いろんなことをAIに相談するんですけど、AIって肯定はしてくれても、本当はどう思っているかという〝真意〟がないと思うんです。だから重要な意思決定については、信頼性に欠けてしまうと感じていて。足立さんは、心からご自身の感情を伝えてくれているのが分かるから「この人なら信頼できる」って思えるんです。
足立 ありがとうございます。僕もたまに「相談ってAIにもできることなんじゃないか」って思うことがあります。だからこそ、僕たちが感じたその人や事業の良さを素直に話すことを大切にしています。実は、上野さんから感想を聞いたのは今日が初めてだったので、お助け隊を始めて本当に良かったなと噛み締めています。
お助け隊以外にも大阪産業局には事業に挑戦する人を支援するための事業がたくさんあるんです。本紙の巻末にも支援事業をまとめていますが、きっと今のお悩みにヒントとなるものがあると思うので、上野さんのように上手に活用していただけたら嬉しいです。

うえの・そうよう
大阪府生まれ。茶道教室の三代目。茶道歴37年、裏千家茶道準教授。2017年 Eggplant 翠滴会を設立。稽古場の主宰を務めるとともに、茶会の愉しさを気軽に味わうことができるサービス『てのひら茶会』事業を運営。茶の湯の愉しさの普及に励んでいる。

あだち・てつ
公益財団法人大阪産業局 職員。IT系中小企業の法人営業職を経て、2023年より現職。テイクオフ支援事業の事務局担当を3年間務め、採択事業者向けの講座や交流会企画に携わる。経営者と支援機関、企業同士のつなぎ役として支援に取り組む。
『WORDS:3 -大阪で新事業展開に挑む人のことばを集めたインタビューと活動報告集-』
発行元 | 大阪府商工労働部中小企業支援室経営支援課
発行日 | 2026年3月10日
プロデュース | 枡谷郷史、足立哲、大内涼加、西尾和倫(大阪産業局)
企画・取材・記事・デザイン| 古島佑起(クリエイティブ相談所 ことばとデザイン)
プロジェクトマネジメント | 吉原芙美(クリエイティブ相談所 ことばとデザイン)

