昨年度実施した【新事業支援 Vチャレンジ】や【新事業展開テイクオフ支援事業】の伴走支援に参加いただいた事業者さまを取材する企画がスタート。伴走支援期間を経た現在の状況や、これからの展望についてお話を伺っていきます。
※Vチャレンジ:大阪府内の新規事業に取り組む約50の事業者さまを、支援機関が約8ヶ月間、その計画の実現に向け、伴走支援をするというプロジェクト。
「食べモノ デザインカンパニー」である強みを活かして、「ご当地ならではの食品のお土産」の開発、販売に取り組んでこられた株式会社スタッフワーク 坂元社長にお話を聞いてきました。
コロナの閉塞感の中から発案
デザインプロダクションという仕事柄、日々、新しい何かを考えることが日常と話す坂元社長。「ご当地ならではの食品のお土産」については、コロナの閉塞感の中考えていた9つの新規事業の内の1つだったそうです。
「待ち」の受注形態から、自社がメーカーの立ち位置で企画、製造、販売までを行うスタイルへ。また「日本の食文化を世界に発信しよう!」という想いもあり完成したのが「大阪みやげチョコレート」。完成までの過程では、自ら製造工場へ足を運んだり、販売先確保の交渉を行ったり、精力的に活動されてきました。
メーカーの立ち位置から見えてきたもの
「依頼をいただくお客様も、どういうものが売れるのか、皆さんそれを知りたいんですよ」と話していただいた坂元社長。原料の高騰に伴う商品の値上げが当たり前になってきた。でも、ただ値上げだけじゃなく新しい価値を生み出さないと選ばれない世の中になってきた背景があるそうです。
「大阪みやげチョコレート」が完成してメーカーの立ち位置からものごとを考えるようになり、お客様からの依頼のステージが変化してきたそうです。以前までは、ある程度デザインの仕様などが決まっていて、期日までに完成させてという内容だったのが、半年後にこのような商品の売り出しを検討しているので、企画段階から助言が欲しいという対話が増えてきたそうです。このように商品開発の川上から携わることでスタッフの士気が上がる。もちろん、売上や利益もプラスに働くそうです。
「この商品のキャッチコピーは、このようにして決まったんですよ」という風に、自分たちが企画から参加してものづくりをしてきたことを語る、この経験の積み上げが、これからの会社にとってとても大切になってくるそうです。
ひとつの新規事業が広がっていく
今回開発した「大阪みやげチョコレート」は、パッケージにも特徴があるそうです。画像のように多面的な折り技術を活かして、広報ツールとしての新しい使い方も提案し始めたそうです。「リクチョコ」と呼ばれるこのツール。中身にチョコレートを挟み込んで、パッケージを会社案内として活用。中身は、別にチョコでなくても自社のサンプルを挟み込んでもOKだそうです。すでに、ペットフードを取り扱う企業の会社案内の制作実績もあるそうで、その使用用途は様々な可能性を秘めています。
ひとつの新規事業がきっかけで、今までにはなかったお客様(=異なる業界など)との繋がりもでき、面白い展開になっていきそうな実感があらわれ始めたそうです。
最後に、デザイン業界として危惧していることも教えていただきました。AIの出現により、お客様が自社内でデザイン業務を完結してしまう事例も増えてきたそうです。ただ、あくまでもAIはツールの一つということ。「食べモノ デザインカンパニー」としての経験、また、働いている社員の特性を考えて伸ばしていく、それらを強みとして、ヒトがヒトだからこそできる仕事を会社としても追求していきたいと。
これからの展開にとてもワクワクする、坂元社長の動向に今後も目が離せなくなりました。
株式会社スタッフワーク
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https://staffwork.co.jp/
取材協力 | 坂元 雄二 氏